本ウェブサイト(以下「本サイト」といいます)では、お客様の本サイトの利用の向上、アクセス履歴に基づく広告、本サイトの利用状況の把握等の目的で、クッキー、タグ等の技術を使用します。「同意する」ボタンや本サイトをクリックすることで、上記の目的のためにクッキーを使用すること、また、皆様のデータを提携先や委託先と共有することに同意いただいたものとみなします。同意の取消方法を含めたより詳しい情報は、「クッキーポリシー」をご覧ください。※その他個人情報の取扱いについては、東京都歴史文化財団プライバシーポリシーをご参照ください。
松隈 洋(京都工芸繊維大学教授)
前川國男に東京文化会館の設計が正式に依頼されたのは、1957年7月のことである。おりしも、直前の4月に、ル・コルビュジエのパリのアトリエから、1959年5月に竣工する国立西洋美術館の実施設計図9枚が日本に届いたばかりだった。だが、そこには設備や構造の図面は含まれておらず、建築も含めて、そのまま施工できる状態のものではなかった。そこで、坂倉準三と吉阪隆正と協議して、彼らに建築を任せつつ、前川は設備と構造の実施設計を担当することになる。こうして、師の建築の実現に弟子の3人が手弁当で協力する中で、歴史の偶然は、上野公園の向かい合う敷地に、図らずも、師弟の競演となる文化施設が相継いで誕生する機会を与えたのだ。
1905年 | 新潟県生まれ |
---|---|
1928年 | 東京帝国大学工学部建築学科卒業 パリの世界的建築家、ル・コルビュジエのアトリエで学ぶ |
1930年 | 帰国後、アントニン・レイモンド建築設計事務所に入所 |
1935年 | 前川國男建築設計事務所を設立 |
1956年 | ル・コルビュジエによる国立西洋美術館の設計工事監理協力 |
1960 ~70年代 |
東京文化会館をはじめ、打放しコンクリートの建築を中心的に手がける |
1961年 | 東京文化会館竣工 |
1950 ~60年代 |
コンクリートの劣化に対応すべく、タイルで建築を覆う「打ち込みタイル工法」に取り組む |
1975年 | 東京都美術館 新館竣工 |
1986年 | 逝去 |
代表作に、東京文化会館、熊本県立美術館、宮城県美術館、山梨県立美術館、神奈川県立音楽堂、国立国会図書館等がある。
受賞歴として、日本芸術院賞、日本建築学会大賞、朝日賞、毎日芸術賞、東京都文化賞、フランス国家功労勲章、スウェーデン王室名誉勲章、フィンランド国勲章等がある。
訳書としてル・コルビュジエの「今日の装飾芸術」がある。
橋本 功(前川建築設計事務所所長)
「建築はファッションではない。建築のディテールを考えることによって表面の形がでてこないといけない」「素材に対する基本的なテクノロジカル・アプローチを身につけた上で、その素材を縦横に駆使してこそ建築は自由を獲得できる」。こうした考えは「テクニカル・アプローチ」と呼ばれ前川の建築手法を表すキーワードとなっており、年代に応じて3つの系譜・変遷がある。1935年~1950年代の「軽量化・工業化の建築」、1950年代後半~1960年代の「打放しコンクリートの建築」、1960年代~1970年代以降の「打込みタイルの建築」である。
これらに共通するデザインボキャブラリーは、単位空間の増殖・分散、一筆描き・ムーブメント、小都市を創る、環境・風土に馴染む、素材を活かす、前川カラーなどが挙げられる。
東京文化会館のロゴマークは、1999年の館のリニューアルとともに生まれました。1961年の開館以来親しまれてきた「東京文化会館」の館名を表象し、再生と未来を指し示すシンボルとなるようにとの思いが込められています。
書字を手掛けたのは、美術家、随筆家としても名高い篠田桃紅氏。当初「これはとてもむつかしい」と断ることも考えた篠田氏は、後になって「そう、風まかせで書こう」と思い立ち、「気が付いたら我を忘れて書いていました」といいます(『うえの』1999年7月号より)。
「上野の森の息吹きと風の薫り」をまとったロゴマークは前川國男の建築に寄り添い、バナーフラッグとなって皆さまをお迎えしています。
コンサート、バレエ、オペラなどの公演が行われ、音響の良さで音楽ファンから絶大な支持を得ています。
国内外のアーティストによる室内楽やリサイタルの演奏会が日々開催されています。
東京文化会館では、年に1~2回「東京文化会館バックステージツアー〈建築編〉」を開催しています。