東京文化会館
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第9回東京音楽コンクール優勝者コンサート



激戦を制した5名の若きソリストたちが一堂に会し、座談会を行いました。 これまでの歩みから、優勝者コンサートへの意気込み、プライベートまで、彼らの素顔に迫ります。

−優勝おめでとうございます。優勝を知ったときのお気持ちをそれぞれお聞かせ下さい。

西川)   自分にとっては本選の演奏は失敗だったので、絶対に優勝はないと思っていました。リハーサルと違って、本番では緊張も動揺もしましたし。ですので、賞状を受け取るときも、席に戻って座るときも、優勝したという実感はありませんでしたね。おめでとうメールをたくさんもらって、家に戻ってからやっと実感が湧いてきた感じです。

八木)   私はとにかくびっくりしました。納得いく演奏ではなかったので「まさか自分が!」と、嘘じゃないかと思いました。その日は眠れませんでした。家族もその日のうちに福岡に帰る予定でしたが、あまりの嬉しさになんと空港から引き返してきて(笑)、一緒に興奮の一夜を過ごしました。

岸本)   すごく嬉しかったです。このコンクールは、ヴァイオリンの成田達輝さん(第5回弦楽部門第1位及び聴衆賞)とか有名な方ばかりが優勝しているので。これをきっかけにもっと頑張りたい、色々なところで演奏したいと思いました。

周防)   僕もびっくりしました。あまり良くない演奏だったので…。

石田)   僕は優勝と聞いて気を引き締めました。全日本学生音楽コンクールで1位になったとき、プレッシャーでその後1年くらい調子が悪かったので、今回はそうならないように。


−東京音楽コンクールに参加してみて、いかがでしたか?全体を通して、特に思い出に残っていることや感想をお聞かせ下さい。

岸本)   本選の前日、リハーサルの最中に弓が折れたことです。パニックになり、家に帰ってからあまりの不安と焦りに泣いてしまいました。でもそれで吹っ切れたのか、翌日、以前使っていた弓に変えて本番に臨みましたが、けっこうのびのびと楽しく弾くことができました。

石田)   実は昨年も応募したのですが、一次審査(CD審査)締切の1ヶ月前に課題曲を間違えていることに気付き、なんとか録音を提出したものの一次審査は通過できませんでした。このコンクールはCD審査が厳しいという印象があったので、気合を入れて今回は臨みました。オーケストラとのコンチェルトは初めてで、ゲネプロはうまくいかなかったけど、本番は楽しかったです。

周防)   僕も、オーケストラと共演できたのが嬉しかったです。


−なぜ楽器(声楽)を始めたのですか?

石田)   僕は上に兄と姉がいるのですが2人ともピアノをやっていて、その流れで僕も小学校1年生からピアノを始めました。やめたいと思ったこともありましたが親の強い勧めがあったのと、僕自身も結局音楽が好きだったのでやめませんでした。ピアノは音域が広く色彩感が豊かで、音量も出せるのが魅力だと思います。

周防)   5歳のときに初めてオーケストラを聴きに行って、ヴァイオリンの華やかさに魅かれました。楽器体験コーナーがあってそこでヴァイオリンを弾かせてもらって、親に「ヴァイオリンをやりたい」と言ったのですが、親からは「ピアノにしなさい」と言われてしまったんです。でも諦めずにその後もずっと言い続けていたら「そんなにやりたいなら」とやらせてくれることになりました。

岸本)   私は2歳のとき、誰かのヴァイオリンの発表会に行って、母が「ヴァイオリンやりたい?」と私に聞いたら、私が「やりたい」と答えたそうなんです。覚えていないのですが…(笑)。近くに音楽教室もあったので、2歳の終わりからヴァイオリンを始めました。やめようと思ったこともありましたが、一時でも楽器から離れると不安になり、結局ヴァイオリンが好きなんだなと思いました。

西川)   僕は運動が苦手だったので、中学のとき、3つしかない文化部のうちのひとつである吹奏楽部に入りました。入ったものの、僕は目立ちたくないという、どちらかというと消極的な理由からクラリネットを選びました。大学に入るまではクラリネットで生きていこうとは思っていませんでしたが、楽器は続けたかったので、クラリネットを続けられる大学を探して、大阪教育大学に入りました。以来いつもクラリネットが身近にあります。クラリネットは曲によって音質が変えられ、いろんな音を出せるところに魅力を感じています。

八木)   私はずっと合唱をやっていて、高校も合唱部でした。ちょうど進路に悩む頃、私のソロを聴いた先輩が、きちんと声楽を学ぶことを勧めて下さいました。そして教育大学に入ったのですが、音大と違ってやりたいことができないもどかしさがあり、院は京都市立芸術大学に進みました。「プロとして」という意識なく今に至りましたが、せっかくこのような結果を頂いたので、これからは自己満足だけで終わらないよう、聴いて頂く方々に何かを投げかけられるように、色々なことに挑戦していきたいです。


−どういう演奏家になりたいですか?また、憧れているアーティストは誰ですか?

岸本)   人の心に響く演奏、震災に遭われた方、音楽どころじゃない境遇で苦しんでいる方にも、楽しむ心を取り戻してもらえるような演奏をしたいです。憧れのヴァイオリニストはイツァーク・パールマンです。昔からCDを聴いていますが、本当に音がきれいです。

西川)   僕はオーケストラ奏者を目指したいです。そして存在感のある演奏をしたいです。憧れはリチャード・ストルツマンです。以前ストルツマンの公開レッスンを受けたのですが、会えただけでも感激しました。

八木)   私は20代まで、自分はオペラでなく歌曲でいくんだろうと思っていました。でもオペラのコンクールに出てみたら、意外と評価を頂けたので、絞らずにどちらも勉強していこうと思います。ラトビア人のエリーナ・ガランチャというメゾソプラノが憧れです。声が素晴らしいし、歌も情感に溢れていて、いろんな役をこなせるんです。

石田)   派手なパフォーマンスより、曲の本質や内面の追求の結果を舞台で出せるような演奏家になりたいです。憧れはマウリツィオ・ポリーニです。コンサートに行って楽屋口で出待ちをしたのですが、その日は会うことができませんでした。でも会えたとしても硬直して何も話せなかったかも(笑)。ポリーニは音楽の方向性や音そのものがすごく魅力的で大好きです。小学校5年生のとき、ベートーヴェンのソナタ5番を弾いたのですが、同じ曲でポリーニのCDを聴いたとき「こんな風に弾けるんだ!」と衝撃を受けました。

周防)   ヴァイオリンだけでなく、人としても好かれる芸術家になりたいです。憧れはダヴィッド・オイストラフ。ビブラートの美しさと、色んな音が出せるところが魅力的です。


−次に、好きな作曲家について聞かせて下さい。

石田)   たくさんいますが、まずベートーヴェン。小さい頃から沢山弾いていますが、主張がはっきりしていて押しが強いところに魅かれます。プロコフィエフは響きが好きです。ショパンは大好きなポリーニがよく弾いていて、歌心が素晴らしい。最近はラフマニノフが好きです。雄大で包容力を感じます。リストはピアニストなら誰もが憧れると思いますが、僕も好きですね。ショパンが「個人に向けた音楽」を書いたのに対し、リストは「万人に向けた音楽」を書きました。技巧を見せるためではなく、ソナタや二次予選で演奏した「ダンテを読んで」など、内面の深い部分を表現した曲が好きです。

西川)   僕はモーツァルトです。吹くのは苦手なのですが、聴くのが楽しい。オペラも素晴らしいですよね。人間味に溢れているのに、そのすべてが音楽によって集約されている。曲が始まった瞬間からモーツァルトの世界に連れて行ってくれる。それからドビュッシーも好きです。色彩感が天才的だと思います。聴いていると海の風景が見えてきたりと、旅行に行っているような気分になれます。

周防)   僕はチャイコフスキーの深くて豊かな、ロシアの大地から湧き上がるような音楽に魅力を感じます。ブラームスも大好きです。

岸本)   私もブラームス。曲そのものが好きです。あまり深く勉強したことはないのですが、ドッペル(ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲)とか、よく家で聴いています。ヴァイオリンソナタももちろん好きですし、室内楽もみんな素敵です。

八木)   私もブラームスは好きです。深いですよね。明るい長調でもどこか暗さを含んだ感じがメゾソプラノに合っていると思います。そしてヴォルフ。ヴォルフの歌曲は詞と音楽のぴったり感が歌っていてとても気持ちがいいんです。詩の世界を音楽で表現できるところに共感を覚えます。


−いつか弾いてみたいコンチェルトを挙げてみて下さい。

石田)   ブラームスの1番は、重厚さと和音が好きで、いつか弾いてみたいです。それからシューマンやバルトークの1番、2番など、ポリーニが弾いている曲は自分も弾いてみたいです。

周防)   ブラームスとグラズノフ。ブラームスはかっこいいし、グラズノフは僕に合っていると人に言われます。難しそうだけど、その中でも歌心や優しい旋律があって大好きです。

岸本)   ショスタコーヴィチ、ブラームス、それからベートーヴェンのトリプル(ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲)。ブラームスはとにかく好きだから弾いてみたいです。特に2楽章は弾くのは大変だけどすごくきれい。

西川)   僕はモーツァルトです。苦手意識を克服したいですね。それから、ジョン・コリリアーノやエリオット・カーターといった現代の作曲家の作品にも触れていければと思っています。今のところあまり広く知られていないというだけで、とても価値のある作品だと思います。

八木)   二次予選で歌ったマスネのオペラ「ウェルテル」のシャルロット役、そしてもう少し歳をとってから、機会があれば、優勝者コンサートでも歌うヴェルディ「ドン・カルロ」のエボリ公女役を演じてみたいです。


−皆さんの出身地について教えて下さい。

岸本)   私は岡山の倉敷の出身で、近くに美観地区があります。帰るととても落ち着きます。実家は防音じゃないので練習はできないのですが…。外に出て田舎の空気を吸うだけでも幸せです。

西川)   僕は生まれは石川県なのですが、小さい頃大阪に移り、吹田市で育ちました。近所に「太陽の塔」があります。帰るとやっぱり安心しますね。

八木)   私は福岡です。大学まで住んでいたので、いつかは帰りたい、常に心の中にある場所です。最近、地元でも演奏の機会を頂けるようになり、家族や親戚にも演奏家としての自分を見せられるのが本当に幸せです。

周防)   僕は京都の亀岡市です。田んぼしかないすごい田舎で、山とか近くて空気がおいしいところです。近くに鑑賞用にコスモスを育てている畑があり、時期が来るととてもきれいです。

石田)   僕は東京の文京区生まれで、今は国分寺市に住んでいます。あまり近所を遊び歩くことはないですね。学校に行くとみんながいるので楽しいです。


−音楽以外に、何か趣味はありますか?

八木)   ミュージカルや、「四季」とか「宝塚」とか舞台鑑賞全般は、自分の仕事につながるのでよく観ます。仕事で外出することが多いので、休みの日は家に居ることが多いです。ゆっくりしたり、掃除したり。

岸本)   体を動かすのが好きで、テニスをやっています。趣味は特にないのですが、ショッピングは好きですし、上野のアメ横にはしょっちゅう行きます。ABAB(アブアブ)の最上階の「スイーツパラダイス」は大好きで、行ったらけっこう食べてしまいます。

石田)   僕は映画観賞が趣味です。ファンタジー系、SF系など。それから、身体が小さいのでこれから大きくしたいですね。

西川)   気分転換に散歩くらいはしますが、趣味はないです。なんでもクラリネットを吹くことで解決してしまうので、吹いてるときは一日中吹いていますね。

周防)   フィギュアスケートを見るのが好きです。浅田真央ちゃんは努力家ですごいと思います。それから料理。お弁当も自分で作ります。


−優勝者コンサートでは、皆さん自身が選んだ曲をそれぞれ披露して頂きます。曲を選んだ理由をお聞かせ下さい。

西川)   いちばん楽しく吹ける曲だと思い、コープランドのコンチェルトを選びました。演奏する機会はあったものの、その度に失敗したりと、色々考えさせられ、成長させてもらった曲です。この曲の雰囲気や魅力は、クラリネットだからこそ出せるものだと思います。コープランドの自筆譜を見れるサイトがあるので、これからそれを見て研究しようと思います。

八木)   私は3曲歌わせて頂きますが、うち2曲は本選でも歌った曲です。これまで温めてきた曲を、今度はコンクールではないので、コンサートとしてのびのび歌いたいと思います。

石田)   プロコフィエフは大好きな作曲家なので選びました。無機質な響き、それとは対照的に感情豊かに謳うところ…プロコフィエフ独特の和音の響きを出したいと思います。

周防)   中学2年生のとき、ドイツに行って初めて聴いた曲です。当時は曲名も知りませんでしたが、絶対に弾きたいと思いました。初めて弾けたのは中学3年生のときで、ダヴィッド・オイストラフ国際ヴァイオリンコンクールでも弾いて、最高位を頂きました。この曲をオーケストラと演奏するのは初めてなので、とても楽しみです。オペラを題材にした曲なので、様々な場面、多彩な音、ビブラートなど勉強するところが沢山ある曲です。

岸本)   私が演奏するワックスマンの「カルメン幻想曲」は、神尾真由子さんの演奏を聴いて以来、かっこよくていつか弾いてみたいと思っていました。この曲をオーケストラと演奏するのは初めてです。


−最後に、曲についての聴きどころや、優勝者コンサートに向けての意気込み、お客様へのメッセージをお願いします。

西川)   キャラクターがはっきりした曲で、聴いていて楽しく、特に導入部のゆったりした部分はすごくきれいでクリーンな感じです。早い部分では元気になるようなリズムの楽しさがあります。それを味わって頂きたいです。

八木)   「声そのもの」を聴いて頂ければ嬉しいです。モーツァルトの最後のアジリタ(*)から、ヴェルディの重い部分まで、それぞれのオペラを複数見て、どうしてこの言葉が出たのか、役柄の心情を考えながら歌い上げたいと思います。
(*)アジリタ…オペラにおいて、細かい音符で書かれた速いパッセージや、それを歌いこなす技巧を指す。本来は「軽快」「機敏」という意味のイタリア語。

岸本)   以前「カルメン」のオペラを観たのですがその「ハバネラ」のリズムや、最後の盛り上がりを私なりに表現できるように頑張りたいです。誰でも聴いたことのあるような有名な曲ですし、最後は特に難しいのですが、早いパッセージのところでも歌いかけるように弾きたいと思います。

周防)   僕も、オペラから生まれた曲なので、声が色々聴こえてくるように演奏したいです。

石田)   本選で弾いたベートーヴェンの「皇帝」とは全く違う曲なので、曲によって変化できる自分を見せられたらいいなと思います。この曲が好きだということを全面に出して、曲に対する思いが滲み出るような演奏をしたいと思います。1楽章の終わり方はすごくかっこいいし、3楽章は日本の音楽に影響を受けているので日本音階が取り入れられています。そのあたりも楽しんで頂きたいです。


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