音脈 Vol.64|東京文化会館公演情報 2016年10月~12月
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5音脈2016 AUTUMN特集・出演者インタビュー5P11参照公 演 情 報©Yasuhisa Yonedaがソロ・ピアノと、チャーリー・ヘイデン(ジャズ・ベースの巨匠で、ゴンサロを西側に紹介した恩人。2014年死去)とのデュオ作という事実は、まさにそのことの証左といえるだろう。 さて、そのゴンサロがこの秋、東京文化会館の2つの公演に出演する。 1つは「“Jazz meets Classic”with 東京都交響楽団」。我が国を代表するピアニスト、小曽根真がホストとなり、世界のジャズ・ミュージシャンをゲストに、ジャンルを超越した“音楽”を届けてくれるこのコンサートには、これまでパキート・デリヴェラ、アルトゥーロ・サンドヴァル、ブランフォード・マルサリスといった超一流のアーティストが出演し、クラシックの名曲やジャズ・セッションを通して刺激的な時間を提供してくれたが、“同業者”であるピアニストとの共演は今回がはじめて。それだけでも興味をかき立てられるのに、選ばれた曲がバルトークの「2台のピアノと打楽器のための協奏曲」とくれば、音楽ファンなら黙って見過ごすわけにはいくまい。近現代クラシックの最重要キーマンにして、チャーリー・パーカーやマイルス・デイヴィスにも影響を与えた大作曲家、バルトークの傑作を、現代ジャズ・シーンの最先端をゆく2人が弾く。これぞ“Jazz meets Classic”というテーマの、最高の具現化といっても過言ではあるまい。また第2部のジャズ・セッションも見逃せない。“ピアノで表現すること”にかけてはともに引けを取らない小曽根とゴンサロが繰り広げるスリリングな即興演奏は、まちがいなく我々を未知の世界へと誘ってくれるはずだ。 そしてもう1つが、小ホールでおこなわれるプラチナ・シリーズのソロ・ピアノ公演だ。先に述べたように、ゴンサロのソロ・パフォーマンスは世界的にもきわめて高い評価を得ているが、それを至高の音響美を誇る“文化の小”で至近に体験できるなどという贅沢は、なかなか味わえるものではない。磨き抜かれたピアニズムが織りなす妥協なき美の世界をこの場所で。ぜひ1人でも多くの方に体験していただきたい。Music Program TOKYO小曽根 真&ゴンサロ・ルバルカバ “Jazz meets Classic”with 東京都交響楽団プラチナ・シリーズ 第3回「ゴンサロ・ルバルカバ〜キューバが誇る世界的ジャズ・ピアニスト〜」  ゴンサロ・ルバルカバ文/藤本史昭(音楽ライター)(ピアノ)essay 01小曽根 真とのバルトークと、ソロ・ピアノ・リサイタル。キューバの至宝、ゴンサロ・ルバルカバの“今”を知る2つの夜。 生(なま)のゴンサロ・ルバルカバをはじめて観たのは1991年8月、初来日した彼がマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルに出演した時のことだった。 仰天した。超高速にもかかわらず音の粒が微塵も崩れない強靱なテクニック。ラテン・アメリカの音楽家ならではの色彩豊かなリズム・フィギュア。スタンダード・ナンバーの演奏にみせる斬新な解釈。…キューバにとんでもないピアニストがいるらしいという噂は以前からジャズ業界では広まっていたし、ブレイクのきっかけとなったモントルー・ジャズ・フェスティバルのライヴ・アルバムもすでにリリースされていたけれど、直に接したその演奏は、CDから受けた衝撃をはるかに超えるものだった。 「これからしばらくはこの人から目が離せない」…僕ばかりではなく、会場に居合わせた多くのファンはそう思ったに違いない。果たして、直後からゴンサロは日本のジャズ・シーンを席巻。スイングジャーナル誌ジャズ・ディスク大賞金賞の2年連続受賞、アメリカのリンカーン・センターにおけるコンサート(コンサートがおこなわれた93年当時、キューバとアメリカの国交は断絶状態だった)といった快挙を次々と成し遂げ、彼はまたたく間にニュー・スターへの階段を駆け上がっていったのだった。 そんなゴンサロに若干の変化が見られはじめたのは、90年代後半だっただろうか。派手な超絶技巧よりも、沈潜していくような内省的表現がより目立つようになってきたのだ。 もっともそういう特質は元々彼の中にあったもので、だからそれは変化というよりも、その特質の占める割合が大きくなったというほうが正確なのだが、いずれにせよ、そういうアプローチを採るようになったことでゴンサロの音楽は、より一層の凄味を増すことになった。とりわけソロやデュオといった小編成でのパフォーマンス  囁くようなピアニッシシモや、時間感覚が麻痺してしまうようなテンポ設定。そして時折挿入される小爆発のような超高速パッセージ等々  は、極度の集中を強いるためきく者を消耗させるが、その見返りとしてもたらされる喜びと充足感は言葉に尽くせぬほど大きい。2000年代になってからゴンサロは4度のグラミーに輝いているが、そのうちの3つ"Music Program TOKYO " Jazz meets Classic/プラチナ・シリーズ

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