音脈 Vol.63|東京文化会館公演情報 2016年7月~9月
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音脈2016 SUMMER4P11参照公 演 情 報 Music Program TOKYO プラチナ・シリーズ第2回 「浜田理恵~言葉は歌い、音楽は語る~」浜田理恵&三ツ石潤司取材・文/小田島久恵(音楽・舞踊ライター)(ソプラノ)(作曲・ピアノ)interview 02ソプラノ歌手・浜田理恵がルイス・キャロルの不思議世界を歌う。三ツ石潤司の冒険的なオリジナル作品は必聴。 小ホールで開催される全5回の「プラチナ・シリーズ」第2回は、ソプラノ歌手浜田理恵が登場。「不思議の国のアリス」をテーマに、前半にはサティ、プーランクの小品を、後半は作曲家でピアニストの三ツ石潤司の『アリスの国の不思議』(世界初演)を歌う。東京藝術大学の先輩後輩で、ともに欧州での活動が長い浜田と三ツ石が、フランスの小都市サント・エティエンヌで再会したことがこのコラボレーションのきっかけになったという。浜田 「三ツ石さんは偉大な先輩で、共通の恩師であるアンリエット・ピュイグ=ロジェ先生と唯一対等にお話できる方ということで、いつも遠巻きに憧れの目で見ていました」三ツ石「31まで大学にいた僕に、ウィーンかロンドンに行けと助言してくださったのがロジェ先生でしたね」浜田 「預言者みたいなところもあったし、全てにおいて天才的な先生でしたね。」三ツ石 「ナディア・ブーランジェの後継者で、ピアニストでチェンパリスト、音楽評論家でもあった。僕たちにとって大きな存在でした」―それぞれフランスとオーストリアで活動された浜田さんと三ツ石さんですが、体力も感性も違うヨーロッパの音楽家と対峙したとき、どういう感慨を持たれましたか?浜田「まわりがみんなタフだから、自分も何があっても大丈夫なんだ、と思い込むようにしていました(笑)。私たちはヨーロッパと日本の狭間にいるから、両方の人たちに揉まれて、中間で働いているのだと思います」三ツ石「僕がウィーン・フィルを好きなのは、彼らは勝手気ままが好きで、きちっとそろえることはあまり考えていない。共通理解があれば、ずれていても平気なんです。その感覚が、縦の線を合わせることに必死な人たちとはかけ離れている。浜田さんとも、僕は僕の音楽をやって、浜田さんは浜田さんの音楽をやって…合わせる必要がない。それで共同の何かが出来るアンサンブルなんです」―なるほど。リサイタルのテーマは『不思議の国のアリス』ですね。浜田「アリスの話になったとき、二人とも『好き好き!』という共通点があって、その好きな理由や度合いも違っていて面白かったんですね。ファンタジーもあり、文学的に面白い言葉もあり、精神的にちょっと病気なところもあって、これは何か作ってみたいなと」三ツ石「新作の題名は『アリスの国の不思議』なんですけど(笑)。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を読むと、文章自体がかなり面白い。ダジャレって意味はないけど、面白いしヘンですよね。例えば「いつもミツバチさんは働き者で、一生懸命働いている」という詩を、そっくりそのままの英文で「ナイルの川で遊んでいる小ワニちゃん、キラリと光る歯で小魚をペロリ呑み込みましたとさ」という話にすり替えちゃう。それを音楽でやりたいと思って書いています」浜田「日々楽譜が送られてきて『今度は何だ?』と楽しみにしているんですが、私からのリクエストで『耳に残る音楽にしてほしい』というのは最初にお伝えしてあるんです。お客様が帰るときに口ずさめない音楽ではだめだと…」三ツ石「今はクラリネットやオーボエでも重音奏法が入っていなければ現代音楽じゃない、といった風潮があって、みんな「びーっ」といった音を出すでしょう? オーボエなんて、洗練されたいい音を出せる楽器なのに。綺麗なフレーズを歌うということが、本来の歌の使命なんです。べルカントがどうこうというのではなく、それ以前に『歌いたい』という気持ちが起こるような歌を書いています」―当日楽しむために、準備しておくとよいことはありますか?三ツ石「歌詞は全部ルイス・キャロルのものなので『不思議の国のアリス』を読んでおくといいかも知れませんね。でも基本的に、お客さんが難しいことを考えなくても楽しんでいただけなければ音楽ではないですからね。時間はだいたい40~50分の長さになるのではないかと思います」浜田「バリトンの晴雅彦さんにもたくさんの役を歌っていただきます。オペラを一曲歌うくらいの気力を求められますね。ひとつのオペラを歌い切るというのはどういうことなのか、現場を知っている三ツ石さんと一緒だから表現できる世界なのかもしれません」"Music Program TOKYO " プラチナ・シリーズ

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