音脈 Vol.63|東京文化会館公演情報 2016年7月~9月
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音脈2016 SUMMER2Music Program TOKYO小曽根 真&ゴンサロ・ルバルカバ ”Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団 小曽根 真(ピアノ) 取材・文/オヤマダアツシ(音楽ライター)写真/堀田力丸天才ピアニストをゲストに迎えてバルトークに挑戦!「JOY」をキーワードに小曽根流の演奏を聴かせる毎年恒例のジャンル横断コンサート&ワークショップ。interview 01 ジャズ・ピアニストの小曽根真が毎回ゲストを迎え、東京都交響楽団と共にクラシックのピアノ協奏曲などを演奏。加えてゲストとのセッションも実現するなど、ジャンルの垣根を取り払って幸福な音楽をプレゼントしてくれるのが、今年で4回目を迎える『“Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団』。これまで、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を取り上げてきたが、今年はさらにパワーアップ。ブルーノート・レーベルから多くの名盤を送り出してきたキューバ出身のピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバと東京都交響楽団の打楽器奏者2人をソリストに迎え、バルトークの難曲である「2台のピアノと打楽器のための協奏曲」にチャレンジするのである。小曽根とルバルカバがステージで共演するのは初めてであり、それだけにスリリングな展開が期待できる。 「天才という言葉はゴンサロのためにあると思えるくらい、センスやテクニック、リズムなどすべてが素晴らしく、彼の音楽からは独自の、しかも演奏を聴けば納得せざるを得ないほど具現化された音楽哲学を感じます。今回はバルトークの音楽ですからかなり練習を積んで臨まないといけないのですが、ゴンサロが受け入れてくれてかなり面白くなるという確信がもてました。ミュージシャンは基本的に自分よりも上手な人と共演して自分にないものを吸収するのですが、僕も今回は盗めるだけ盗もうと思っています。コンサートの後半には2人だけのセッションもありますけれど、当日ピアノを弾いてみないとどうなるかわかりません。その状況も、そこで起こることもすべて楽しんでください」 バルトークの協奏曲は1940年に作曲されたが(ただし原曲となるソナタが作曲されたのは1937年)、刺激的・攻撃的な側面も強く、さらに民族色が加わったアクの強い作品だ。初めて聴くという方もいらっしゃるだろうが、ジャズが生まれて発展してきた20世紀前半という時代を共有している作品だとも言える。 「この作品に限りませんが、僕が弾くからといって安易なジャズ風の演奏になることはありませんし、クラシックのピアニストになりきって演奏するつもりもありません。一人の音楽家としてバルトークの音楽語法を精いっぱいリスペクトし、自分の身体に入れるまで弾き込んだ後、バルトーク語で音楽を奏でるということに尽きます。ときどきテレビドラマで俳優さんが大阪弁でしゃべっているのを観ますけれど、関西出身の僕からすると『ちょっと待ってよ』と思うこともあります。そうした方言を使いつつ会話の中にある微妙な感情を表現するには、演じる人物がどういう暮らしをしていて、どういう気持ちでその言葉を発しているのかを十分に考えないといけません。さらに有効な方法としては言葉を耳でコピーすること。音楽の場合でも同じです。そうやって身体の中へ入れないとプロコフィエフ語やバルトーク語で演奏するのは難しいですから、コンサートがある10月まではバルトークの楽譜にタックルを繰り返すような毎日になるでしょうね。でも、そうして自分を追い込んだ上で生まれる音楽だからこそ、みなさんに感動を味わっていただけるのだろうなと信じています」 ところで次々にクラシックのレパートリーを広げ、今や国外のオーケストラにも客演する機会が増えたという小曽根。その出発点は、2003年に尾高忠明指揮による札幌交響楽団と共演したモーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノム」だった。当初からクラシックに対するアプローチは一貫しているという。

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