音脈 Vol.59|東京文化会館公演情報 2015年7月~9月
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音脈2015 SUMMER4脈々と受け継がれてきた原始の音の鼓動に打楽器を駆使して新しい生命を吹き込む。身体も心も躍らせるタンブッコの魅力。interview 01-プラチナ・シリーズ-第1回 タンブッコ〜メキシコ発、驚異のパーカッション・アンサンブル〜 タンブッコ(パーカッション・アンサンブル)取材・文/楠瀬寿賀子(音楽ライター) メンバーのまとめ役を務めながら、ときどきおっちょこちょいな一面も見せるリカルド、気むずかしそうに見えて意外に人を笑わせるアルフレード、リズムを刻ませればピカイチのラウル、そして元気一杯の若者ミゲル。4人の陽気なメキシカーナたちのコンサートは、いつどこでも熱烈な拍手と歓声に包まれます。 そんなタンブッコの魅力の秘密を探ろうと、リーダーのリカルドに話を訊きました。 「今回のコンサートでは、ラテンアメリカやアフリカなどさまざまな地域に起源をもつ楽器を使って、南北アメリカ大陸やヨーロッパの作曲家の作品を演奏します。何百年も昔から使われている楽器も登場しますが、伝統的な奏法を踏襲するだけではなく、そこから新しい音を生み出していくためのさまざまな演奏法や工夫を取り入れています」 プログラムの1曲、ハンガリーの作曲家バルナバス・デュカイの作品は“モテット”と付記されているとおり、教会音楽を思わせる響きが特徴です。 「この作品はもともと4つのヴィオラのために書かれていますが、4人のテノール、4人のアルト、そして今回のように4つのマリンバでも演奏されています。彼の作品には自然が内包されていて、風や海の霧など、そして時や空間それぞれの異なる様相を感じることができます。興味深いことに、それを手でつかむことはできないけれど、音楽の中に聴こえてくるのです。ミステリアスであったりメランコリックであったり、4つのマリンバが描き出す響きの色彩をお楽しみください」 このほかメキシコからは、インファンソンのボディ・パーカッションの作品で文字どおり「あざのできる音楽」とメンバーのひとり、アルフレードの4つのカホンのための作品、ウルグアイからはカミルアガの「ちびっこコンガのための四重奏」、アメリカからは、クラヴェスを使ったライヒのミニマル作品とグリフィンの奇妙なタイトル曲「過去の化学作用の持続」、イギリスからはフィトキンのマリンバと太鼓のための作品が演奏されますが、とくにリカルドの新曲の世界初演も期待されます。 「いま作曲中ですが、2種類の鍵盤楽器のための作品を考えています。ひとつは指で弾いて演奏する “カリンバ”。この楽器は、南アフリカのジンバブエやモザンビークなどで使われている“ムビラ”が起源で、アフリカ各地で広く使われますが、国や地域によってそれぞれ名前、形、音律や演奏法などが少しずつ異なります。もうひとつはモダン・マリンバ。伝統の楽器と現代の楽器の組み合わせで、新しい色彩感を出そうと思っています」 また、コンサートのほかに、小中学校でのワークショップも予定されています。 「マスタークラスやワークショップを行うことは、タンブッコにとってとても大切な活動。私たちは、どこの国にいっても可能な限り対象年齢を問わず、教育プログラムとコンサートを組合せています。今回も子どもたちとの出会いがとても楽しみです」 タンブッコのレパートリーには日本の作曲家の作品も多く、コンサートや録音で海外にも活発に発信しています。その功績によって2011年に国際交流基金賞を授与されて初来日し、2013年にも日本ツアーを行いました。 「日本のどこの地でもお客様の温かさや親密さ、聴き方の誠実さを感じますし、お客様とのよい関係を作ってこられたと思います。また、日本のホールはどこもとてもすばらしい響きをもっていて、いろいろな意味で私たちの音楽の可能性を最大限に広げることができます。色彩や音量、テンポなどの変化を微細に表現できるので、私たちの音楽の言葉やメッセージをお客様がしっかりと理解し、受けとってくれていることがよくわかります。今回初めて聴いてくださる方々にも、ぜひそれを感じとっていただきたいですね」 これまで50年以上にわたって国内外のたくさんの演奏家たちがコンサートを行ってきた東京文化会館の歴史に、また新たに色鮮やかな1ページが加わることでしょう。

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