音脈 Vol.57|東京文化会館公演情報 2015年1月~3月
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3音脈2015 WINTER 特集・館長&音楽監督対談変えようと言っているんですが、2020年は、目標にしちゃいけない。通過点と考え、変える中でも、レガシー、残すものをちゃんとして変えないと駄目なんだと思うんです。ぜひ、残すものとのコラボレーションの作曲をお考えになっていただいたらどうですかねえ(笑)。例えば、私が関係しています世界文化賞の受賞者向けに、明治神宮の暗い森厳な森の神殿の前で、津軽三味線をやりました。かがり火がパチパチッという中で、まず2人だけの三味線、そして一斉に後ろが開いて20人くらいの合奏、となって、もう皆さん、完全に吸い込まれて、「素晴らしい、日本の魂を聴いた」と。監督:(故)武満徹先生の和楽器、特に尺八に託した思いは、とても深いものがありました。津軽三味線は、克明に五感を刺激します。尺八を合わせると、静と動が溶け合って独特な世界が生まれるかもしれませんね。館長:尺八と津軽三味線の合奏ね、そこにオーケストラが一緒になったら、これはすごいと思います。外国の人が来られたときに、「日本的なものをやっている文化会館」となりますよね。日本の心という、レガシーですよ。上野「文化の杜」新構想館長:今、上野公園を国際文化交流の拠点にしようというプロジェクトがあるんですよ。文化会館だったら音楽を中心に貢献し、東京都美術館なら美術で貢献し、という中で全体を盛り上げようと。そこに素敵なレストランやコーヒーショップがあるとかは大事ですよね。早いんですよ、公園のあたりはみんな、終わるのがね。監督:もうちょっとコラボが進むといいですね。館長:その中で、上野駅の改札口から文化会館まで、横断歩道なしでストーンと行けるようにしようという意見が出てましてね。監督:いいですね、それ、理想。車に無関係に入れるといいですね。館長:いろいろ難しい問題もあるんですが、実現したら、やっぱりオリンピックという大きなものがあるから出来る、それがレガシーですよ。監督:2020年を超えて、まばゆく、さらにまばゆくなる文化会館。館長:監督には今から作曲をお願いしてね(笑)。音楽は物語〜だから館が大事〜館長:受験で失敗したとき、リストの「前奏曲」を聴いていて涙がボロボロぼろぼろ出てきました。でも、最近聴いても涙は全然出ないんですね。だから、その時の環境や置かれた立場で音楽の響きというのは違いますね。監督:我々はその環境を創り、心寄せてくださる方々に感性を届ける義務があるような。文化会館の使命ですね、今の。館長:音楽は、思い出との再会ですからね。僕なんか、ベートーヴェンという人は、いろんな苦労の中で作曲していって最後の「第九」で歓喜に結びつく、そのシラーの詩のことを小学校の先生から聞いて、もう自分で物語を作っているわけです。そういう物語との出会いを音楽が作ってくれる、その素晴らしさを経験してもらうことが大事だから、小屋って大事なんですよ。そういう意味で、欲を言えば、今回、改修やりましたけどね、イスがもうちょっとゆったりしてたり、内装がウッディ(woody)だったりするといいですよね。いろんな課題があるんで難しいですけどね。監督:今の文化会館を壊さないのが礼儀ではなくて、そこに僕たちの思いを伝えるというのが、ホールを最初にお作りになった方への礼儀ではないかと。半世紀が過ぎたら、当然文化会館も変わることを、(建設に)携わって向こうに逝かれた方々もきっと祈っているんじゃないかと、僕は思ってしまうんですね。館長:いずれにしても、誰にも、ちょっとした機会に触れたり、節目節目で考えたりする“座右の音楽”があると思うんですよ。文化会館が、そういう、人生に影響を与えるような音楽との出会いの場になればいいな、と思っているんです。小林研一郎Kenichiro Kobayashi館長&音楽監督対談

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