音脈 Vol.56|東京文化会館公演情報 2014年10月~12月
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音脈2014 AUTUMN2©満田 聡 2015年1月3日、小林研一郎が東京文化会館の音楽監督として初めて指揮台に立つ。東京文化会館のニューイヤーコンサートで東京都交響楽団と共演(ソリストはヴァイオリンの木嶋真優)、新春を祝う曲目の数々で聴衆を至福の世界へといざなう。 熱血マエストロとして知られる小林研一郎は、“コバケン”の愛称で親しまれている聴き手にこよなく愛される指揮者。彼のモットーは「聴衆の心のなかに入れる音楽をたくさん演奏すること」。いつも聴き手とのコミュニケーションを最優先し、プログラムも聴衆が心から楽しめる作品を組むことにこだわる。 そのコバケンが東京文化会館《響の森》Vol.35の「ニューイヤーコンサート2015」でドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を振ることになった。この交響曲は彼にとって「バイブル」としている演奏があり、それが東京文化会館で1974年1月6日に東京フィルを振って行ったコンサートである。以来、内外で世界最高の数を誇るのではないかと思われる300回を超える演奏を行い、「新世界」の解釈を深めてきた。今回は当館における30年ぶりの「新世界」でタクトを振る。 「《新世界》は日本人に深く愛されていますので何度も聴いてもう耳慣れた曲だと思いますが、今回はぜひ最初から最後まで聴き耳をたてる感じで聴いてほしいですね。ぼくは常に作品に新たな空気を吹き込みたいと思っています。ここにこんな旋律が隠れていたのか、ここは黒人霊歌の響きが聴こえる、このフレーズは風のそよぎだったのだと、さまざまな発見があるはずです。ドヴォルザークがスタッカートやテヌートを記した箇所もホールの音響により考慮すべき。ぼくは東京文化会館の音響を考え、都響とのリハーサルでそうした部分に少し変更を加えるかもしれません」 コバケンはハンガリーとの絆が強いことで知られるが、チェコとのつながりも深い。2002年5月には「プラハの春」音楽祭のオープニングに日本人指揮者として初登場し、恒例のスメタナ「わが祖国」を指揮、作品を知り尽くしたチェコの聴衆から大喝采を送られた。さらに2008年にはチェコ・フィルの定期演奏会に招かれ、「新世界」をライヴ収録、これまでの伝統的な奏法、表現力に新たな視点をもって臨み、個性的な解釈と高い評価を受けた。聞き手/伊熊よし子2015年はコバケンの十八番「新世界」で幕開け。新たな年が輝かしくまばゆい光を放つ音楽でスタートし、よき年への願いが託される。interview 01《響の森》Vol.35「ニューイヤーコンサート2015」小林研一郎(指揮/東京文化会館音楽監督)取材・文/伊熊よし子(音楽評論家)

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