音脈 Vol.55|東京文化会館公演情報 2014年7月~9月
3/20

と思います」★宝塚の輝かしき男役スター・轟悠がお国を! 《いざやかぶかん》 さらに、今回の新機軸として「ぜひジャズで演りたいと思って!」と目を輝かせる壽輔氏。20世紀アメリカを代表する作曲家ガーシュウィンが、ジャズをクラシック音楽へ見事に融合させた傑作オペラ《ポーギーとベス》の音楽で踊るというアイディアが生まれ、オペラから編まれた交響組曲《キャットフィッシュ・ロウ》に振り付けられることになった。新作、題して《いざやかぶかん》とはこのシリーズらしい。「ガーシュウィンの音楽を聴いているうちに、なぜか歌舞伎の祖であるお国と結びついたんです。同じタイトルで以前にも作品を創ったことがあるのですが、今度はジャズでかぶき踊りを演ってみたい。お国から現在に至る歌舞伎の変遷をみせる‥‥。ならば、主演は宝塚の男役がいいんじゃないだろうか、と。お国だけでなく、いろんな役に変わっていける」 長年、宝塚歌劇団でも振付指導を続けてきた壽輔氏ならではのアイディアだ。そして、ここでも驚きの豪華キャスティングが実現する。「トップ中のトップである轟悠[雪組トップスターを経て専科で活躍する男役スター]を口説いてみたら、こんなチャンスはまたとない、と言ってくれたんです」 これはまた輝かしい。「今年は宝塚歌劇百周年を迎えることもあってもの凄いスケジュール、こちらへの出演は無理かとも思われたのですが、本人がどうしても出たいと頑張ってくれて‥‥。轟はとても真面目な子なんです。熱心な上に、何を演らせても品格がある。きっと面白くなると思います。振付は若央りさ[宝塚歌劇団振付家/元月組男役スター]にお願いしました。彼女はダンスも上手いし、花柳流の名取でもありますから日本舞踊も上手いんですよ」 主演が決まったところで、「横尾忠則さんにぜひ美術をお願いしたいと思ったんです」と壽輔氏。「今までお会いしたこともなかったのに、なぜかピンと来て。‥‥初めてお会いして公演企画をお話しているうちに、轟悠の名前を出したら途端に横尾さんが『やる!』と乗り出した。轟悠の大ファンだったんです(笑)」 轟悠の主演に40名の日本舞踊家、そして思い入れ深い横尾忠則の美術を得ての《いざやかぶかん》──宝塚と日本舞踊とジャズが出逢うところに、かぶき踊りのエネルギーが舞い降りる。詳しい(奇抜な!)着想はまだ秘密だが、これまた凄いことになりそうだ。★ゴージャスでエレガント・麻実れいと壽輔氏の 共演!《パピヨン》 さらに驚きは続く。もうひとりのビッグなゲストは、麻実れい。数々の舞台で強烈な存在感を魅せてきたこのスター女優が、花柳壽輔とのデュオを踊るというから必見だ。 これまでの公演でも、壽輔氏自身が踊る演目が静かに深い感銘を響かせてきた。《牧神の午後》《プレリュード(沈める寺)》に続いて今回も、ドビュッシーの音楽に振り付けて踊るという。「日本舞踊は〈静〉の動きが大切ですから、東洋の影響を受けているドビュッシーは日本舞踊にはぴったり」 新作《パピヨン》のタイトルは、フランス語で〈蝶〉を意味する。「日本舞踊に《保名(やすな)》という演目がございまして[亡き恋人を想う男が正気を失い、春の野辺で幻を追う踊り]、小道具として蝶が出てきます。この蝶が男を前に踊る‥‥。バレエで《薔薇の精》という作品がありますね[フォーキン振付/舞踏会帰りの少女の夢の中で薔薇の精が踊る]、あれと通じる着想といいましょうか」 このパピヨンを踊るのが、麻実れいというわけだ。「最初から彼女に決めていました。宝塚時代から知っているのですが、ゴージャスでエレガント、普通の女優にはない独特のノーブルなものを持っている。エキゾティックな顔立ちといい、日本では得難いタイプなんです」 宝塚歌劇団・雪組トップスターとして人気を博し、退団後も舞台女優としてますます才能を開花させた麻実れい、踊りの舞台は久々の出演となるはずだが「彼女にお願いしたら〈まさかご一緒できるとは、もう夢のよう〉と喜んでくれました」と壽輔氏も嬉しそう。「麻実れいの雰囲気にも良く合うと思いますし、衣裳は森英恵先生が手がけてくださることになりました。これはゴージャスですね‥‥」★鹿鳴館へ、源氏物語へ‥‥ 想像力の翼ひろげる意欲的な挑戦! 他にも、壽輔氏の思い入れ深い演目が新たな世界へ生まれ変わる、意欲的な作品が並ぶ。 《ライラックガーデン》は、「古い話ですが戦後、ノラ・ケイ[アメリカのバレエ・ダンサー]が小牧バレエ団の招きで来日して、日劇で公演した時にみた《ライラックガーデン(リラの園)》[テューダー振付]がとても印象的で‥‥。このバレエを日本舞踊に出来ないかと考えて、舞台を明治時代、鹿鳴館の頃に翻案し音脈 Vol.55 2014.SUMMER3特集 出演者インタビュー&エッセー特集 レポート東京文化会館主催公演のご案内木之下晃のレンズは語る都響ニュース会館からのお知らせ2012年12月の公演より ©青柳 聡

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です