音脈 Vol.55|東京文化会館公演情報 2014年7月~9月
2/20

 鮮やかな驚きと、夢幻の深み‥‥あの代え難い体験が還ってくる。《日本舞踊×オーケストラ》、大反響に応えて今回も、またとない豪華な(そして意外な!)キャストを迎えての公演が決定した。 ──始まりも驚くべきものだった。去る2012年12月の初回、花柳流四世宗家家元・花柳壽輔を演出に迎えた《日本舞踊×オーケストラ─伝統の競演─》公演は、バレエの傑作として知られるオーケストラ曲を日本舞踊を中心とした〈和〉の世界に響かせる挑戦が、東京文化会館を埋めた満場の観客に強い印象を与えた。「私自身、1回きりの公演だと思っていたのですよ」と、今回も構成・演出・振付に豊かなアイディアをそそぐ花柳壽輔氏は明るい表情で語る。「初回公演が終わってすぐに、東京都から次の公演へのお話をいただきまして‥‥。準備期間も短くどうしようかと思ったのですが、幸い坂東玉三郎さんに相談したら出て下さるというので、それならと」  二度目の公演となった『日本舞踊とオーケストラ─新たなる伝統へ向けて─』[2013年10月/主催:東京都、日本舞踊とオーケストラ実行委員会/特別協力:東京文化会館]も大好評。「これで終わりと思ったら、東京文化会館からまた今回の公演へのお話をいただきました」と笑顔の壽輔氏。「何度も公演が出来るということは、ご覧になりたいと思って下さるお客様も多いということでしょうか。考えているうちに、演目が見えてきました。やはり演るからには今回も理想的なスタッフとキャストがほしい。日本舞踊家だけでは出来ませんし、存在感とオーラのある方を迎えて公演のメインとなってほしい、と考えたのです」 日本舞踊界を代表する存在として、傘寿を越えてますます意欲的な花柳壽輔氏は、早くから歌舞伎・宝塚歌劇・演劇・バレエなど広いジャンルでの活躍を続けており、その人脈はもちろん視野も確かで広い。今回の《日本舞踊×オーケストラ》でも、日本舞踊界の外から迎えるゲスト主演陣のキャスティングが、また驚きだ。★世界バレエ界の美しき至宝・吉田都を迎えての 《ボレロ》! バレエへの深い憧憬を抱く壽輔氏が、これまでの公演でもバレエ作品の新たな翻案に取り組んできたこともあって、客席には興味津々のバレエ・ファンも多かった。その愛好家たちも揃って驚くに違いない今回のゲストはまず、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍、フリーランスで踊る今も世界バレエ界に輝く至宝として絶大な人気を誇るダンサー・吉田都だ。「吉田都さんは以前から踊りを拝見していて、大変に素晴らしい方だなぁ‥‥と思っていたのです。世界トップクラスの方ですね。しかし私は都さんが踊るクラシックしか観たことがありませんから、今回の公演のようなことをお演りになるかどうかも分からなかったのです。どうかなぁと思いながらお願いしたら、出ていただけることになりまして。これは願ってもないこと、ならば《ボレロ》しかない、と思いました」 壽輔氏が振付家ベジャールへの敬愛をこめて創ってきた《ボレロ》、このシリーズで三度目となる上演だ。「最初の公演では野村萬斎さんと男性群舞による上演も大変に好評をいただきまして、二度目は男性群舞だけで演ってみた。すると玉三郎さんから〈この作品は面白いから、公演の定番としていろんなヴァージョンをお演りになったらいかがでしょうか〉とアイディアをいただいたのです」 その《ボレロ》に、あの吉田都を迎えるという驚き。「実は、三度目となる今回は男女の群舞でも面白いかなと思っていたのですが、吉田都さんに出ていただけることになって、それならば女性は都さんおひとりで、男性36人の群舞と共演していただこうと。また、私どもの振付では都さんの良さを引き出すことが難しいですから、都さんのパートはコンテンポラリーの振付家の方にお願い致します。演出プランをよく話し合って、どのようにご一緒させていただくかじっくり練っていこう1花柳壽輔(構成・演出)インタビュー①日本舞踊×オーケストラ Vol. 2舞台芸術創造事業音脈 Vol.55 2014.SUMMER22012年12月の公演より ©青柳 聡聞き手:山野雄大

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です