音脈 Vol.40|東京文化会館公演情報 2010年10月~12月
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音脈2010. Autumn10東京文化会館50周年に向けて1973年5月 エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 Ⓒ竹原伸治偉大さを身にしみて感じたその強烈な体験は私が音楽にのめり込むひとつの大きな契機となった。 もちろんまだ小学生だったので、それほど頻繁に演奏会に通うというわけではなかったが、それだけに1回1回の演奏会が実に新鮮で貴重な体験だった。この頃に東京文化会館で聴いたコンサートで印象に残っているものとしては、1968年3月のマルケヴィッチ指揮の日本フィル(この時舞台上でマルケヴィッチに対して名誉指揮者の称号の授与式が行なわれた)、1968年6月のスヴェトラーノフ指揮のソヴィエト国立交響楽団などがある。その時のマルケヴィッチのブラームスの交響曲第4番の演奏は最近DVD化され、それを観て当時のことが心に蘇り深い感慨に捉われたものだ。一方、ソヴィエト国立交響楽団の地響きするような力強いサウンドにはすっかり圧倒され、当時まだ若々しかったスヴェトラーノフもすでにこの頃からあの独特の雰囲気を指揮台に漂わせていたのを思い出す。ウィーン・フィルを聴く機会にも恵まれた。1969年2月の来日の際、チケットを買っていた父に急用ができ、代わりに行かせてもらえることになったのだ。世界最高のオーケストラが東京文化会館で聴けるということで胸をわくわくさせながら出かけていったのだが、席は1階のど真ん中、半ズボン姿の小学生が一人で座るには明らかに場違いで、なぜこんなガキがここにいるんだといわんばかりの目で周りの人からみられて、肩身が狭い思いのしたことを覚えている。そのせいもあってか、ショルティのあの独特の肘を突きだす指揮姿は面白かったものの、演奏の感銘は薄く、ウィーン・フィル初体験は期待を満たすものとはならなかった。プログラム変更によって急遽演奏されたハイドンの交響曲第102番に、それまでレコードで聴いていたウィーン・フィルらしい音を感じたくらいである(なお記録資料のほとんどが変更前の曲目のままの記載になっている)。 その後しばらく大病を患い2年休学したため長期間演奏会からも遠ざからなくてはならず、楽しみにしていたセルとクリーヴランド管弦楽団の東京公演もあきらめざるを得なかった。回復に向かうとともに少しずつながら演奏会にも復帰するようになっていた1973年、私の音楽人生でも最大の事件といってよい衝撃的な演奏に東京文化会館で出会う。忘れもしない5月26日、それまで“幻の巨匠”だった初来日のムラヴィンスキー率いるレニングラード・フィルの演奏会で

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