音脈 Vol.38|東京文化会館公園情報 2010年4月~6月
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音脈2010. Spring4東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2010- この曲では、リズムが押し寄せては退いていくオルフ独特のダイナミズムが聴きどころだ。第2部での、あの童謡「汽車ポッポ」(本居長世作)の「機関車と機関車が前引き、後押し・・・・」にそっくりのリズムも面白いし、「エーお煎にキャラメル」のような空耳効果、あるいは「北上夜曲」によく似た旋律なども登場する。そのリズミカルな進行は、聴き手を一瞬たりとも退屈させることはあるまい。 呼び物のもう一つは、ワーグナー・シリーズの第1回として、「パルジファル」が演奏会形式で聴けることだ。ワーグナー最後のオペラであるこの作品では、純な心を持つ愚か者の少年パルジファルが、魔人クリングゾールの手から聖槍を奪還し、聖杯の国に持ち帰るまでが描かれる。近年の舞台上演では複雑な読み替え演出で気を散らされることも少なくないが、演奏会形式なら音楽にいっそう集中できるだろう。「パルジファル」の音楽には、「ニーベルングの指環」のような壮絶な派手さはないが、その代わり沈潜の深淵に引き込まれるような、魔性的な深みがある。ブルクハルト・フリッツ(パルジファル)、ミヒャエラ・シュスター(謎の女性クンドリ)、フランツ・グルントヘーバー(永遠の傷を負った国王)、ペーター・ローズ(聖杯守護の騎士)ら、定評あるワーグナー歌手を揃えた配役陣も聴きごたえがあろうし、なによりドイツの職人肌の名匠ウルフ・シルマーがNHK交響楽団を巧妙に盛り上げてくれるだろうと思う。 これが今回、東京文化会館大ホールで演奏される2つの大作である。こういった大規模な声楽曲を、2303人の聴衆のだれもが均等なバランスで愉しめる会場は、東京ではただ一つ、舞台と客席とが向き合う構造を持ち、しかも適切な空間的拡がりを持つ東京文化会館大ホールのみなのである。 この他、小ホールでも、ピアノの小菅優やソプラノのリカルダ・メルベートらのリサイタルが行なわれるし、また国立科学博物館や東京国立博物館、東京都美術館などでもコンサートがある。博物館の中での音楽会というのも、独特の雰囲気があって良いものだ。 暖かい柔らかな大気と、眩しい陽光に包まれる春の上野の森̶̶そこで開催されるフェスティバルは、筆舌に尽しがたい魅惑にあふれるだろう。ウルフ・シルマーブルクハルト・フリッツミヒャエラ・シュスターⓒArveDindaフランツ・グルントヘーバーペーター・ローズ小菅優 ⓒphoto Steffen Jaenickeリカルダ・メルベートⓒMasahiko Takeda 東京文化会館では、2009(平成21)年度より“東京文化発信プロジェクト”の一環として「青少年のための舞台芸術体験プログラム」を開催しています。この企画は、当館で上演される世界最高峰のオペラやバレエ、オーケストラ等の公演のゲネプロ(最終的な通しリハーサル)を、舞台芸術に関心のある青少年に公開するもの。対象は、高校生以上(公演によっては中学生以上)で25歳以下の学生の方です。 2009(平成21)年度は12公演(うち2公演はプレ企画)を開催。開演前のプレトークで作品の見どころや舞台の楽しみ方をご案内したり、あらすじや解説の載ったパンフレットを配布したりして、初めての方でも楽しんで鑑賞していただけるようにしました。その結果、参加者からは感激のメッセージ、「ぜひまた参加したい」との声が多数寄せられています。 2010(平成22)年度も引き続き、豪華ラインナップにて開催の予定です。詳細は現在調整中。決まり次第、当館HPにてご案内いたします。多くの皆様のご参加をお待ちしております。「東京文化会館 青少年のための舞台芸術体験プログラム」好評開催中!「青少年のための舞台芸術体験プログラム」についてのお問合せ:東京文化会館 経営管理課 03-3828-2111主催:東京都/東京文化会館・東京文化発信プロジェクト室(財団法人東京都歴史文化財団)

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