東京文化会館
文字サイズ:小 文字サイズ:中 文字サイズ:大
来場者の皆様へ 主催者の皆様へ
学校の先生へ よくある質問 お問合せ サイトマップ ENGLISH
主催公演 Music Weeks in TOKYO
Music Weeks in TOKYO 2012
   TOP | Music Weeks in TOKYO 2012 | スーパー・コーラス・トーキョー | エリアフ・インバル(指揮)インタビュー

 世界的な合唱指揮者ロベルト・ガッビアーニの指導により研鑽を積んだプロ合唱団「スーパー・コーラス・トーキョー」が、東京都交響楽団と同団プリンシパル・コンダクターのエリアフ・インバルとの共演により、マーラー初期の傑作「嘆きの歌」を演奏します。
 都響とインバルは9月15日からマーラー・ツィクルスを開始しますが、この公演は交響曲第2番「復活」の直後、10月3日と4日に行われます。
 初来日から約40年、日本でも数多くのマーラー作品を取り上げていますが、「嘆きの歌」を日本で指揮するのは今回が初めてとなります。この曲の日本での演奏を熱望していたインバルにこの公演への想いを聴きました。
(聞き手:佐伯茂樹)  

−「嘆きの歌」はマーラーの作品の中でどういう位置付けで捉えたらいいですか?
インバル    マーラーは、学生時代にこの曲を書きました。そして、何度もこの曲を提出して、なんとか自分の能力を認めてもらおうとしたのですが、その都度、却下されてしまいます。認めてもらうために楽譜の改訂をし、1901年に自身の手で初演をしたけれど、残念ながらこれも評判が悪く失敗に終わっています。

 しかし、マーラーは、この曲のことを諦めず、何度も取り組み専念してきました。指揮者として名前が知られるようになり、有名な曲を作曲していたにもかかわらず、それでも尚この曲に取り組んできたということは、この曲が彼にとってどれだけ重要な存在であったかという証しだと思います。

 私自身、「嘆きの歌」は本当に素晴らしい作品だと思っています。マーラーの交響曲には、彼の悩みや人生など主観的なものが反映されていますが、それに比べて、この曲はメルヘンタッチな雰囲気が支配する作品だと言えると思います。

 マーラーの交響曲、特に第1番から第5番、そして第9番は、彼の人生そのものだと思う。彼の苦悩や希望、理想の追求、さまざまな宗教を求めたり、違う人生を求めるなど、そういうものがすべて彼の交響曲から感じ取ることができます。

 「嘆きの歌」は、若きマーラーが作り上げた最初期の管弦楽作品であり、題材になっているのはメルヘンタッチのものですが、さまざまなオーケストラの楽器や声楽を使って、素晴らしい雰囲気に仕上げている。若い作曲家がつくった作品としては、本当に天才的な作品だと言えると思います。

 おそらく、ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」やワーグナーの楽劇などの影響があったと思います。しかしながら、マーラーは、ウェーバーでもなくワーグナーでもなく、自分の言葉で自分の音楽を発展させたのです。そういう意味で、私は本当に素晴らしい作品だと考えています。

 この作品の音楽や言葉は、まさに純粋にロマンティックなものです。ロマン派の原型と言えるような雰囲気に支配されている。

−マーラーは、この作品をカンタータとして書いていますが、この作品以降カンタータは作曲しておらず、交響曲と歌曲を別々に作曲していますよね?
インバル    そのとおりです。「嘆きの歌」のあとから、歌曲と交響曲に分かれて発展していき、「大地の歌」で歌曲と交響曲が一緒になります。

−スコアを見ると、初稿ではかなり斬新なオーケストレーションをしていることがわかります。
インバル    本当に斬新でオリジナリティに溢れています。この作品のスコアを見るだけで、彼の天才性が理解できます。しかし、彼の周囲にいた権威のある人々はそのことが理解できなかった。それまでの他の作曲家たちの作品とはまったく違う、とても斬新で勇敢な曲だったので、当時の人々は聴き慣れたスタイルの作品を望んだのかもしれません。だからこの作品が正当な評価を得ることができなかったのでしょう。

−このあと、2回改訂していますけど、それはやはり評価が芳しくなかったからだとお考えですか?
インバル    却下されたわけですからね。楽器を多く使い過ぎたとかソリストが多過ぎたのではないかと思って、減らしたのかもしれません。その方が、実際に上演しやすいと判断したのでしょう。

 たとえば、マーラーは、オフステージのバンダを全部カットしてしまいますが、最終稿ではまた採用しています。



「スーパー・コーラス・トーキョー」に戻る